自死遺族になって〜分かち合いに参加してみて
自死遺族になって〜分かち合いに参加してみて
姉を自死で亡くして1年を過ぎた頃に
分かち合いに参加してみようかなと思うようになりました。
分かち合いに参加しようと思うようになった経緯、
参加してみて思ったことを書きます。
分かち合いに参加することを勧めるためというよりは、
分かち合いってどうなのだろうと思う人はいると思うので、
実際に参加した人の感想が参考になればと思っています。
分かち合いって何?
自死遺族に関して調べていく中で、
「分かち合い」という単語を見るようになりました。
以下は調べた際に分かち合いについて書かれたページの引用です。
互いを尊重し合いながら、ありのままの思いを語り合い、
聴き合う―遺族のつどいはそのような場です。
立ち上がることなど到底できない、
どうにもできないほどの混乱の中で、
多くの方たちが「同じような体験をした人の話が聞きたい」、
「自分の気持を話したい」、「わかり合える人に出会いたい」
との思いから、つどいに参加されています。
(全国自死遺族総合支援センターより引用)
リンクはこちら
同じ遺族の方たちで集まり、
普段話せない思いを互いに共有しあう場です。
分かち合いの会の進み方、約束事
開催している会によって多少の違いはありますが、
いくつか参加して共通していることがありました。
- 会の進み方や約束事
- 匿名で参加OK
- 事前連絡なしでOKなところが多い
- 自己紹介が終わった後は自由に発言(特にテーマはない) (参加人数が多い場合は亡くした方によってグループを分けることもありました)
- 発言をしている人を遮ったり、反論、評価をしたりしない
- 会で聞いた人のプライバシーに関する話は外で話さない
- 話したくなければ聞いているだけでもOK
主に上記はどこの会も共通しているようと思います。
分かち合いの内容に関しても
全国自死遺族総合支援センターのページに
わかりやすくまとまっているので、
気になる方は参考にされるといいと思います。
こちらがリンク
一番下にあります。
分かち合いに参加しようと思った経緯
姉が自死して1年位した時に、遺族の会でやっている分かち合いに
参加してみようと思うようになりました。
誰かに誘われたりとか、医者から誘われたりとかではありません。
(私の担当医は何も情報をくれませんでした。)
分かち合いの存在については8ヶ月くらい経った時に知りましたが、
全然情報が頭に入ってこなく、
何をしても無気力な感じでした。
あと、分かち合いと聞いて最初に感じたのは、
- 他人と分かち合って何になるのか
- 他の人から何か言われたらどうしよう
でした。
1年経てば何か気持ちが変わるのかなと思いましたが、
特にそういうことはなく、時間だけが過ぎていました。
ただ一つ気持ちに変化が出たこととしては、
自分はこの複雑な気持ち
(大切な人を自死で亡くした悲しさ、悔しさ、何もできなかった無力さ・無念さ、行き場のない怒り、亡くして気づいた愛おしさ)
と共にこれから一生を生きていくのだな
ということを受け入れるようになってきたことです。
こうした気持ちを持つようになった時から、
- 他の遺族の方はどのようなことを考えているのだろう
と思うようになりました。
参加することに不安はあるけど、一度は参加してみようと思って参加しました。
参加してみてどうだったのか
初めて参加したのは平日の昼間にやっているものでした。
参加してみて感じたのは、
- 参加したから答えがあるわけでもないし、
人生の辛さがなくなるわけではない - 同じ「自死遺族」という共通項はあるとはいえ、
それぞれ感じていることは違う - 自分は一人じゃない
- ありのままを全て受け入れて生きていこう
- 思っていることを気兼ねなく話せる場所がある
ということを感じました。
この前はじめて #自死遺族 の分かち合いの会に参加した。
— カモミール (@chamomile_pis) 2018年6月8日
参加して心が楽になることはなかったけど、足を運べたことはよかったと思えた。
記憶力は良いほうだと思っていたけど、どんな人がいて、何を話していたか、自分が何を話したかは一切覚えていない。
分かち合いに数回参加してよかったと思ったことは、
— カモミール (@chamomile_pis) 2018年7月30日
親しい友人だとしても打ち明けられないことを
同じ共通項を持っていることで、初対面だとしても話せることだと思いました#自死遺族 #サバイバー
分かち合いには色んな「あい」があると気づいた
— カモミール (@chamomile_pis) 2018年8月4日
哀(あい) 様々な哀しみ
愛(あい) 亡くなった方への愛
I(アイ) 私という存在がいること
を参加者と共有するだけでなく、
自分自身にも認識させる機会になると感じた#自死遺族 #ガン遺族 #分かち合い #サバイバー
参加してみてものすごく良かったととも感じなかったし、
参加することに意味がないとも思いませんでした。
当たり前の感想かもしれませんが、
参加したいと思った時に参加するのがいいかな
というのが率直な感想でした。
参加して良かったと思ったこと
箇条書きになりますが、参加してよかったと思ったことです。
あくまで私が感じたことなので、全ての人に該当はしないと思います。
参考程度にしてください。
- 話したいことを話せる
普段は口にすることが難しいけど、
分かち合いでは気にせず最初から自死に関して話をできました
- 色んな方の話を聞くことを通して自身を振り返れる
他の方の話に耳を傾けて聞くことで、自分に落とし込んで
自分の気持ちを整理することができました。
参加してちょっと困ったこと
いくつか参加してみて、困ったなと思ったこともありました。
こういうマイナスに感じられてしまうことを書くと、
参加しようか迷っている人に悪い印象を与えてしまうかもしれません。
批判ではなく、自分が困ったなと感じたことなので、
こちらも参考程度にしてください。
- 自分の話したことを評価されてしまう時がある
約束事に「人の話を評価しない」というのはありますが、
全ての項目を完全に守ることは難しいこともあるように感じます。
「あなたのように若い人がこんな苦しみを抱えているのに前を向いていてすごいわね」
「あなたは若いから(まだ先があるから)いいじゃない」
「早く結婚して亡くなったお母さんとお姉さんを喜ばせなさい」
と言葉をいただくことがありました。
自分が感じたことを良く評価してくださるのは嬉しいですが、
これからのことをアドバイスされるのはちょっと困りました。
分かち合いの場としては、
アドバイスや発言の評価をするよりは、
人の話を聞いてよかったなと思ったことを伝えたい時は、
自分の気持ちの受け止め方にこう活かしてみようと思ったと発言した方が
分かち合いの場としての効果が大きいように私は感じます。
- 発言しにくくなることもある
分かち合いの雰囲気はその場に参加している人によって作られるので、
たくさん話したいことがある人は積極的に話されますが、
なかなか話しにくくなることもあります。
この辺は分かち合いを進行していくファシリテーター
(進行役であるけど、同じ自死遺族の方)
の役割がとても大事だと感じてます。
参加者は気持ちをまとめられずに発言することもあるし、
同じ遺族の方と話せる機会は少ないと思うので、
色々話したいこともあると思うので、
時として発言の内容が分かち合いの場では控えた方がいい場合もあるかもしれません。
そういう時にファシリテーターがフォローを入れてくれると話しやすい雰囲気になるのを感じました。
これから参加してみようかなと思っている方へ
以下は、私が何度か参加してみて、
分かち合いに参加する時に心がけていることです。
参加したことがなくて、参加してみようかなと思っている方がいれば、
参考になれたらと思います。
- 参加したいと思った時に参加する
当たり前といえば当たり前ですが、
参加したいと思った時に参加するのが良いと思います。
- ある程度体調、気分が良い時に参加する
分かち合いでは色んな方の話を聞くし、
自分の事も話すので、
思ったより心身共にパワーを消費するので、
当日の体調や気分が優れなければ無理して参加しなくてよいと思います。
- 全部の話をちゃんと聞こうとしなくていい(=神経を使って話を聞きすぎない、リラックスして話を聞く)
色んな方の話を聞きたいと思うので、
頑張って聞こうとするのは大事ですが、
分かち合いって参加してみると思っている以上に神経を使うので、
ある程度リラックスした方がいいと感じました。
また、どんな人が参加するかわからないというのは、
どんな話が出るかわからないということでもあるので、
時にはその内容が自分にとって辛く感じられる時は、
耳に入ってくるところだけ話を聞いたらよいと思います。
- 自分の話したいことはある程度はまとめておいた方がいい
こうした分かち合いの場で話すことは自分の気持ちに関することが多いと思います。
また、その気持ちはとても複雑で、矛盾しているような相反する感情があったり、
昨日、今日、明日でその気持ちも違うこともあるし、
一日の中でも色んな感情が出てくると思います。
なので、話したいことをまとめるといっても難しいですが、
事細かに説明する必要もなく、今自分がどういう感情を持っているのかは自分の心と対話しておくと良いと思います。
- 話したいことを話す
さっきと矛盾しているように思われますが、
自分の気持ちを確認したり、まとめておくことは大事ですが、
その瞬間話したいと思ったことを話すのが一番だと思います。
- 分かち合いは答えをもらえる場ではない
参加したら誰かから答えやアドバイスをもらえる場ではないです。
(会の主催者によっては何かアドバイスを貰いたいことがあれば
会の終わった後とかに質問したら専門機関を紹介してくれることもあるので、
個別に問い合わせてみるといいと思います。)
色んな方の話を聞く中、また自分が話す中で、
新たな気づきを得ることはあるので、
そういった意味では答えを得ることもあります。
- どこで参加するのがいいか
どんな人が参加するかは会が始まるまでわからないので、
どこがいいというのはないかと思います。
ただ、アドバイスするとしたら、以下を私は挙げます。
- 自宅 or 会社に近すぎないところ(←近すぎると知り合いに会う可能性がある)
- 市区町村に紹介されている(←何となく安心感がある)
- 対象が自死遺族のみ
以下が参考になれば、、、
— カモミール (@chamomile_pis) 2018年9月12日
私が探す時にポイントにしたのは以下でした
* 参加対象が自死遺族のみ
* 自分の家からある程度近い(←近すぎると知人に会いそうで少し離れてるところ)
* 市区町村のホームページで紹介されている(←何となく安心感を感じるので)
中には死別体験で一括りにしているところもありますが、
初めて分かち合いに参加する場合は
「自死遺族のみ」のところがいいと思います。
適切な表現が出てこないのですが、
自死による死別体験は悲しみの種類が違うように感じました。
死別体験という大きい括りで色んな話を聞きたい場合でなければ、
対象を絞っているところに参加した方がいいと思います。
さいごに
私が分かち合いに参加して感じたことを書きました。
書いてみると、うまくまとめきれない部分もありますが、
分かち合いってどういうところなのかが、
少しでも伝えることができたら嬉しいです。
分かち合いに関して何か気になることとかあれば、
私の感じたこと、調べて知った範囲で答えられることは回答します。